ITフリーランスとして活躍する多くの方が、現在SESの現場で働いているのではないでしょうか。
SESは大規模プロジェクトに参画できる機会が多く、安定的に案件を得られる点が魅力です。
しかし──
「このまま一生SESで働き続けられるのか?」
と不安を感じたことはありませんか?
実際、案件情報を見ると「50歳まで」など年齢制限付きの案件も少なくありません。
これは、ITフリーランスが避けて通れない現実のひとつです。
この記事では、
- SESフリーランスが直面する主なリスクと課題
- 将来に備えるためのキャリア・事業戦略
- リスク分散に有効な「多角化戦略」
を、実体験を交えて解説します。
SESフリーランスが直面する3つのリスク
長年フリーランスとして活動してきた中で、特に重要だと感じる課題は次の3つです。
- 年齢制限
- けが・病気による収入リスク
- キャリアアップの限界
年齢制限の壁
SES業界では依然として年齢制限のある案件が存在します。
50代以降になると新規参画のハードルが上がり、選べる案件数が減る傾向があります。
もちろん、長年の実績や人脈があれば、年齢に関係なく継続できるケースもあります。
しかし「いつかは受注が減る可能性がある」ことを前提に、リスクを想定して動くことが重要です。
けが・病気による収入リスク
フリーランスは収入の保証がありません。
体調を崩せば即収入減となるため、所得保障保険や就業不能保険への加入は必須です。
また、長期のブランクが生じると、クライアント側から「継続性への不安」を持たれることもあります。
健康維持とリスク備えは、長く活動するうえでの基本戦略といえます。
キャリアアップの難しさ
SES案件は「現場単位でのスキル提供」が中心のため、マネジメント経験や新技術への挑戦機会が少ないという側面もあります。
その結果、「次のステップに進みにくい」「年齢とともに単価が頭打ちになる」といった課題が生じます。
つまり、SESを続けるだけではキャリアの天井が早く訪れるのです。
将来に備えるための考え方
フリーランスは“経営者・事業者”であると認識する
フリーランスは、会社員とは違い自らの事業を経営する立場です。
SESの経験が長いと「案件がある=安定」と錯覚しがちですが、市場の変化に対応できなければあっという間に後退します。
福沢諭吉の『学問のすすめ』の言葉、
「進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む」
の通り、現状維持は後退を意味します。
SESで培った経験を“事業資産”として捉え、今後どのように展開していくかを常に考えることが、長く生き残るための鍵です。
キャリア・事業プランニングを立てる
将来的に「専門職として生きるのか」「事業者として展開するのか」を明確にしましょう。
- 専門職型(職人タイプ) 
 SESで培ったスキルを深め、テックリードやアーキテクト職へ進む。
 → 信頼と人脈を積み重ね、安定的に案件を継続。
- 事業者型(経営タイプ) 
 自身の知識を活かし、新規サービスや別業種への展開を検討。
 → 将来の収入源を分散できる。
この選択を意識することで、「キャリアが途切れない働き方」を構築できます。
リスクを分散する「多角化戦略」とは?
経営学者イゴール・アンゾフが提唱した多角化戦略は、フリーランスにとっても非常に有効な考え方です。
事業を1本に絞らず、複数の収入源を持つことでリスクを軽減できます。
多角化戦略の4パターン
| 種類 | 概要 | 例 | 
|---|---|---|
| ① 水平型多角化 | SESと関連する分野へ展開 | エンジニアをチーム化し、SES事業を運営 | 
| ② 垂直型多角化 | SESの中で工程拡大 | 自動化ツールを開発し既存顧客へ提供 | 
| ③ 集中型多角化 | 技術を活かし別市場へ | 飲食業向けシステム開発に参入 | 
| ④ 集成型多角化 | 全く別業種に進出 | SESから飲食・教育事業などへ転換 | 
特に最初は「コストを抑えられる事業」から始めるのがおすすめです。
たとえば、オンライン講座やスキルシェアサービスなど、初期投資が少ない領域から挑戦すると良いでしょう。
まとめ|SESフリーランスは“経営意識”が将来を左右する
SESは安定した収入を得やすい一方で、年齢・健康・キャリアといった課題も存在します。
そのリスクを乗り越えるには、
- フリーランス=経営者であるという自覚
- キャリアと事業の両軸を見据える計画性
- リスクを分散する多角化戦略
が不可欠です。
僕自身も、SESだけに依存せず複数の事業を展開することで、安定収入と新たな挑戦の両立を実現しています。
フリーランスとして長く活動するために──
今のSES案件を“事業の土台”として、次の一歩を考えていきましょう。













