みなさんは商工会・商工会議所がどんなところかご存知でしょうか。
フリーランスで利用している方は少ないかもしれませんが、事業で困ったときに相談する場所として覚えても損はありません。
では商工会・商工会議所がどんな場所なのか、フリーランスとしての活用ポイントを踏まえてお伝えします。
商工会議所と商工会の違いとは?
検索すると、商工会議所・商工会どちらも名前が出てきます。
違いを全て説明すると読むのが大変になるので、必要なところだけ整理して説明します。
違いについて下記の通りに整理しました。
商工会議所 | 商工会 | |
対象地域 | 市の区域 | 町村の区域 |
管轄 | 経済産業省 経済産業政策局 | 経済産業省 中小企業庁 |
事業 | 国際的な活動を含めた幅広い事業 小規模事業施策 | 経営改善普及事業 地域振興事業 |
会員の規模 | 約8割が小規模事業者 商工会と比べて中堅・大企業が多い | 約9割が小規模事業者 |
加入金 | 3,000円 | 1,000円〜2,000円 ※商工会によって異なる |
年会費 | 1口:10,000円 ※個人事業主の場合 | 10,000円前後 ※商工会によって異なる |
根拠法 | 商工会議所法 | 商工会法 |
どちらも共通していることは、下記の通りです。
- 民間の法人
- 公務員ではなく団体職員
- 団体の事業としては公共性が高い
- 中小企業や小規模事業者のために、秘密厳守・原則無料で経営相談などを行う、「経営のかかりつけ医」
また、商工会議所と商工会は地区で重複することはありません。
何をしてくれるところなのか?
商工会議所と商工会の違いについて説明しましたが、フリーランス含む小規模事業者にとって具体的に何を支援してくれるところなのか支援策・制度の一例をご紹介します。
全ての商工会議所・商工会で行なっている支援策・制度ではありませんので、管轄地域の商工会議所・商工会でご確認いただければと思います。
創業支援
これから創業・独立する方に向けた支援が充実しています。
起業時の相談もありますが、必要な知識を体系的に学ぶことができるセミナーを開催してます。
また、予約制にはなりますが、対面・オンラインで相談することが可能です。
経営相談
会員になると、専門家による経営相談を無料で利用することができます。
経営全般的に相談もありますが、法務関係、確定申告、商標等といった専門的な相談についても相談に乗ってもらえます。
職員に相談することもできますが、専門的な相談については専門家にアドバイスを受けられる専門家派遣という制度(エキスパートバンク事業)もあります。
金融支援
地方自治体の制度融資、日本政策金融公庫の融資、信用保証協会付きの融資等に関する融資相談と斡旋をしてくれます。
また、「マル経融資」といった制度があり、無担保・無保証で商工会議所・商工会の推薦に基づき、最大2,000万円まで利用することができる日本政策金融公庫の公的融資制度となります。
マル経融資を申し込むにはポイントがあります。(場所によって異なる可能性があります)
- 商工会議所・商工会で6か月の経営指導を受ける
- 融資審査が少し長い(1か月〜2か月かかる可能性あり)
- 20名以下の法人または個人事業主
- 税金を完納している
必ず融資を保証してもらえるというものではありませんが、計画書や試算表等相談することが可能ですので、相談した上で融資申し込みができるのは非常に心強い支援だと思います。
小規模事業者持続化補助金の窓口
補助金の中で窓口となっているのが、小規模事業者持続化補助金です。
小規模事業者持続化補助金とは、販路開拓等にかかる費用を補助してくれる制度です。
商工会議所・商工会の会員でない事業者でも補助金の申請は可能です。
詳しい補助金の制度については、こちらをご覧ください。
セミナー・講習会
基礎知識のものから実践的なものまで、数多くのセミナーや講習会を行なっています。
無料のものから会員割引で参加できるものまで多く開催されています。
昨今はオンラインでの開催も多く、参加しやすくなっています。
福利厚生
商工会議所には「Club CCI」という福利厚生支援サービスがあります。
商工会議所に入会すると無料というわけではありませんが、入会金が無料+リーズナブルな月額料金となります。
商工会にも共済に加入すると福利厚生サービスを利用することができます。
そのほか商工会議所以外の福利厚生サービスについては、こちらもご覧ください。
その他にも共済制度や信用調査割引、事業承継、交流会等、数多くの支援策がありますので、管轄の商工会議所・商工会のホームページをご確認ください。
フリーランスとしての活用ポイントを整理
フリーランスが商工会議所・商工会を活用するポイントを整理してみました。
創業・独立前
個人・法人の設立の手続きから、税務面、資金調達といったことを体系的に学んだり相談することができます。
後から身につけても良いですが、やはり創業前の段階である程度知っておくほうが、リスクを抑えることができると思います。
資金調達
資金調達の中で、主に「融資」と「補助金」がメインとなります。
融資は返済が必要となりますが、補助金は返済不要な公的資金となります。
どちらも事業の安定化、事業拡大する際には必要となることがありますので、相談するには特にお勧めします。
また融資は、マル経融資(小規模事業者経営改善資金)が一番魅力的な制度となります。
販路拡大
フリーランスにとっては良い人脈を増やすことは非常に重要です。
商工会議所・商工会では、交流会や自社PRとして広告掲載も可能です。
また、「ザ・ビジネスモール」という取引開拓・商談支援を行なっているサイトを運営しています。
商工会議所・商工会独自の販路開拓がありますので、幅広い業界と接触することも可能かと思います。
法務・税務相談
フリーランスの場合、確定申告を自分で行なっているケースも少なくありません。
顧問もいなく、ときには税理士に聞いてみたいというケースがあるかと思います。
直接専門家に相談するとなると、それぞれの専門家に相談する必要があり、さらにその分費用もかかります。
契約書のチェックについても非常に重要な作業ですし、トラブルになったときにまず一回相談してみたいということも、事業する上では発生してきます。
それぞれの士業を顧問として契約するのは費用がかかりますので、まずは商工会議所・商工会から利用してみるというのが良いかと思います。
ITフリーランスが税理士に求めたいポイントを整理してみましたので、下記を参考にしてみてください。
まとめ
商工会議所や商工会には、国や都道府県、支援機関等から様々な支援制度の情報が集まります。
個人でそのような支援制度の情報を調べるとなると、大変な労力がかかります。
経営に関する基礎知識はネットだけでの情報ではなく、体系的に知識を吸収すべきかと思います。
加入金や年会費は他の同様なサービスから考えると、公的な機関でコストを抑えることができ、尚且つ有益な情報を得ることができます。
個人的にはフリーランスも入会すべき機関ですので、検討してみてください。