フリーランスエンジニアとして活動している皆さん、次のステップを考えたことはありませんか?
技術力だけでなく、プロジェクト全体を俯瞰し、クライアントの課題解決に直接貢献できるプロジェクトマネージャー(PM)やコンサルタントへのキャリアチェンジが、今多くのエンジニアに注目されています。
この記事では、エンジニアの技術的バックグラウンドを活かしながら、どのようにして高単価のPM・コンサルタントへとキャリアを発展させていけるかを詳しく解説します。
エンジニアからPM・コンサルタントへ転身するメリット
1. 単価の大幅アップが期待できる
エンジニアの平均単価が60-80万円/月であるのに対し、PMやコンサルタントは80-150万円/月と高単価案件が豊富です。
特にDXコンサルタントや上流工程のPMは需要が高く、経験を積むことで月単価120万円超えも現実的です。
2. より戦略的な仕事に携わることができる
コードを書く作業から、事業戦略や課題解決に関わる上流工程に移ることで、クライアントの経営層と直接対話する機会が増え、より大きなインパクトを与えられる仕事に従事できます。
3. 技術力が差別化要因になる
技術的な知見があるPM・コンサルタントは市場価値が非常に高いです。
「実装可能性」を考慮した提案ができることで、他のコンサルタントとの差別化が図れます。
4. キャリアの幅が広がる
エンジニア、PM、コンサルタントのスキルを併せ持つことで、様々な案件に対応でき、景気の変動にも強いキャリアを構築できます。
必要なスキルセットの棚卸し
改めてエンジニアとして経験したスキルについてを認識し、今後キャリアチェンジする上で必要なスキルを洗い出してみました。
全てのスキルを備える必要はありませんが、徐々に身につけながら、どのスキルが自分の中で強みとなるのか常に意識はしておき、スキルアップしていく必要があります。
エンジニアが既に持っているアドバンテージ
技術的理解力
- システム設計・アーキテクチャの知識
- 開発プロセスへの深い理解
- 技術的制約や実装コストの把握
- データベース設計やAPIの理解
論理的思考力
- 問題を分析し、解決策を導く能力
- 複雑な要件を整理・構造化するスキル
- バグの原因究明など、根本原因分析の経験
新たに習得すべきスキル
ビジネススキル
- 財務・会計の基礎知識
- マーケティング・セールスの理解
- 業界知識・業務プロセスの把握
- ROI・KPIなどの指標管理
コミュニケーション・プレゼンスキル
- ステークホルダーとの調整能力
- 資料作成・プレゼンテーション技術
- 会議のファシリテーション
- 非技術者への技術内容説明力
プロジェクトマネジメントスキル
- プロジェクト計画策定・進捗管理
- リスク管理・課題解決
- 品質管理・コスト管理
- チームビルディング・人材マネジメント
段階的なキャリア移行戦略
ここではフェーズごとに戦略の概要をまとめてみました。
期間については目安です。
案件の状況によっても大きく変わりますので、1つずつこなしていってみましょう。
またどのフェーズでもですが、見本となる方を案件で見つけ、その人のやり方を真似してみてください。ビジネスでも真似(モデルケース)が一番の近道です。
Phase 1: 現在の案件でPM要素を取り入れる(1-6ヶ月)
まずは今の開発案件の中で、PM的な役割を積極的に担ってみましょう。
具体的なアクション
- 要件定義フェーズでクライアントとの窓口役を志願する
- プロジェクト進捗の可視化ツール(Gantt チャートなど)を導入提案する
- 技術選定の際に、コスト・工期・リスクの観点から提案書を作成する
- 他のメンバーのタスク管理やスケジュール調整を担当する
Phase 2: PMアシスタント・テックリードポジションを狙う(6-12ヶ月)
アピールポイントとして、Phase1で行ったアクションを経歴書・スキルシートに反映させましょう。
技術面はスキルシート上経験があるのは一目瞭然ですので、しっかりマネジメント要素を目立たせアピールすることが大事です。また、エージェント経由の場合は、しっかりと担当営業に伝えて、営業経由からアピールしてもらうようにしてください。
案件選定のポイント
- PMサポートポジションがある案件を選ぶ
- 上流工程(要件定義・基本設計)比重の高い案件を選ぶ
- 複数ベンダーが関わる大規模プロジェクトを選ぶ
この段階で身につけるべきこと
- Microsoft Project、Redmine、JIRAなどのPMツールの習得
- ガントチャート、WBS作成スキル
- ステークホルダー管理の実践経験
- 予算管理・コスト算出の経験
Phase 3: フルPM・ITコンサルタントデビュー(12-24ヶ月)
マネジメントやコンサルタントとしての経験は多くはないですが、意識してキャリアチェンジを狙っていきましょう。
経歴書・スキルシートも1つの提案書です。書面からまずは見直し、作り替えることも視野に動いていきましょう。
案件獲得戦略
- 中小企業のDXプロジェクトPM案件から始める
- 既存クライアントへのPMサービス提案
- ITコンサル会社のパートナー案件参画
- 自社サービスの企画・PM経験を積む
実践的なスキル習得方法
スキルに焦点を当てて、より実戦で活用するためのスキルの習得方法について解説します。
1. 資格取得による体系的学習
プロジェクトマネジメント系
- PMP(Project Management Professional)
- ITコーディネータ
- プロジェクトマネージャ試験(国家資格)
- アジャイル関連資格(CSM、SAFeなど)
コンサルティング系
- 中小企業診断士
- ITストラテジスト試験
- 各種クラウド認定資格(AWS、Azure、GCP)
2. 実務経験を積む具体的方法
社内・チーム内での実践
- 現在の開発チームでスクラムマスターを担当
- 社内勉強会の企画・運営
- 新人メンターとしてのプロジェクト指導
- 技術選定時の意思決定プロセス設計
外部活動での経験積み
- IT系コミュニティのイベント企画・運営
- 技術ブログでのPM・コンサル系記事執筆
- ボランティアプロジェクトのPM担当
- オンライン勉強会での講師経験
3. ビジネススキル強化の学習法
財務・会計知識
- 簿記3級程度の基礎知識習得
- IT投資のROI計算方法の理解
- クラウド移行のコスト削減効果試算
業界知識習得
- 特定業界(金融、製造業、小売など)の深掘り学習
- 業界特有の規制・コンプライアンス要件の理解
- 競合他社の動向・技術トレンド分析
案件獲得のための営業戦略
1. ポートフォリオ・実績の見せ方
技術者向けとは異なるアピールポイント
- 技術的な解決だけでなく、ビジネス課題解決の成果を強調
- プロジェクトの予算・工期・品質の管理実績
- ステークホルダーとの調整・合意形成の成功事例
- 提案から実装まで一貫して担当した案件の紹介
具体的な実績数値の提示例
- 「要件定義段階での提案により、開発コストを30%削減」
- 「プロジェクト管理手法の改善により、予定より2週間短縮でリリース」
- 「技術選定の最適化により、運用コストを月50万円削減」
2. ネットワーキング戦略
既存クライアントへの横展開
- 開発案件から派生するPM案件の提案
- システム導入後の運用改善コンサルティング提案
- DX推進の上流戦略策定支援提案
新規開拓チャネル
商工会議所等を活用するフリーランスは少ないかもしれません。
個人的にはおすすめしていますので、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。

- IT系の経営者コミュニティ参加
- 中小企業向けのDXセミナー講師
- 商工会議所等の経営支援機関との連携
- 他業種コンサルタントとの協業関係構築
3. 提案書・営業資料の作成ポイント
エンジニア出身ならではの強み訴求
- 技術的実現性を踏まえた現実的な提案
- 開発チームとの円滑なコミュニケーション保証
- 技術トレンドを踏まえた将来性のある設計提案
- 技術的負債や運用リスクの事前防止提案
単価アップのコツ
1. 段階的な単価設定戦略
初期段階(PMアシスタント): 70-90万円/月
- エンジニア単価+10-20万円でスタート
- PMサポート業務の実績を積む
- クライアントとの信頼関係構築
中級段階(フルPM・PMO): 90-120万円/月
- プロジェクト全体の責任を持つ
- 複数のステークホルダーとの調整
- 予算・スケジュール管理の完全責任
上級段階(シニアPM・コンサルタント): 120-200万円/月
- 戦略策定から実行まで一気通貫
- 経営層との直接対話
- ROI向上の明確な成果提示
2. 高単価案件の見極めポイント
避けるべき案件
- 単純な進捗管理のみのPM案件
- 技術的知見が活用されない事務作業中心案件
- 責任範囲が曖昧な案件
狙うべき案件
- DX推進の上流戦略策定案件
- 技術選定・アーキテクチャ設計を含む案件
- 経営課題解決に直結するシステム企画案件
- 新規事業立ち上げの技術戦略策定案件
3. 成果の可視化と次案件への活用
定量的成果の記録
- プロジェクト成功率、予算達成率
- 工期短縮・コスト削減の実績
- ユーザー満足度、システム稼働率
- チーム生産性向上の数値
定性的価値の言語化
- ステークホルダーからの評価・推薦
- 技術的課題解決の独自性
- 業務プロセス改善提案の成果
- チームモチベーション向上への貢献
よくある失敗パターンと対策
1. 技術偏重で終わってしまう失敗
特にエンジニアだと、技術にこだわる方も多いと思います。
クライアントが求めているのは、高い技術ではなくビジネスとして価値あるものにできるかです。
技術的な完璧性にこだわりすぎて、ビジネス要求とのバランスを見失い、プロジェクトが炎上してしまう。
- ビジネス価値を最優先に考える癖をつける
- 「技術的にベストな解決策」と「ビジネス的にベストな解決策」を分けて考える
- ステークホルダーの真のニーズを把握するヒアリングスキルを磨く
2. コミュニケーション不足による失敗
エンジニアに限らず、専門性の高い人が陥るポイントです。
誰に向けて説明するのかを意識して、相手の背景を理解して上でコミュニケーションをとるように意識していきましょう。
技術者同士のコミュニケーションに慣れているため、非技術者に対する説明が不十分で誤解を生んでしまう。
- 技術用語を使わずに説明する練習を日常的に行う
- 図解・可視化を多用したプレゼンテーション技術の習得
- 相手の理解度を確認しながら話を進める習慣づけ
3. 責任範囲の認識ミス
エンジニア時代の責任範囲(実装部分)の感覚で案件を受けてしまい、想定外の業務で炎上してしまう。
- 契約前に責任範囲・成果物を詳細に確認
- PM・コンサルタントの一般的な責任範囲を事前学習
- 不明な点は恥ずかしがらずに先輩PMに相談
4. 単価設定の失敗
自信がないからと安い単価で受注してしまい、後から適正単価への修正が困難になる。
- 市場相場の徹底的な調査
- 段階的な単価アップ計画の策定
- 価値提供に見合った適正単価での提案を心がける
まとめ:エンジニアの強みを活かしたキャリアアップを実現しよう
フリーランスでキャリアチェンジを行うのは容易ではありません。
僕もフリーランスで活動している中でキャリアチェンジを行ってきました。そこで成功した経験があります。
目の前の業務だけを取り組んでは間違いなくキャリアチェンジはできません。
常に意識して、自分の力でキャリアチェンジを身につけていくマインドがフリーランスには必要です。
エンジニアからPM・コンサルタントへのキャリアチェンジは、技術的なバックグラウンドという強力な武器を持った状態でのステップアップです。重要なのは、この強みを活かしながら、ビジネス視点でのスキルを段階的に身につけることです。
今回紹介した戦略を参考に、まずは現在の案件でできる範囲からPM要素を取り入れることから始めてみてください。技術力という土台があるからこそ、より説得力のある提案ができ、高い単価を実現できるはずです。
高単価な案件を探す場合はこちらの記事を参考にして、エージェントを見つけてみてください。エージェント選びはキャリアチェンジする上でも非常に重要なポイントです。



フリーランスとしてのキャリアをさらに発展させたい方は、ぜひこのガイドを参考に、PM・コンサルタントへの挑戦を検討してみてください。あなたの技術経験が、クライアントの課題解決により大きな価値をもたらし、それに見合った対価を得られるはずです。
このガイドが皆さんのキャリアアップの一助となれば幸いです。具体的な質問や相談があれば、お気軽にコメント欄でお知らせください。