「リモートワーク・テレワークが主流になった」「場所を問わず働ける」が当たり前になっていたIT業界。
しかし、最近「リモート案件が減ってきた」「出社回帰が進んでいる」という声も聞かれるようになりました。
この変化を踏まえて、地方在住のITフリーランスは今後どこまでリモート案件に頼っていいか、リアルな見通しも提示しながら、メリット・デメリットや成功戦略を紹介します。
加えて、人気エリアでもある福岡・札幌・広島といった比較的案件環境が整いつつある地方都市の具体事例も交えます。
地方在住ITフリーランスの現状
日本全体でフリーランス人口は増加しており、クラウドソーシング大手ランサーズの調査では、フリーランス人口は1,600万人を超えるとされています。
都市部に案件が集中している一方で、リモートワーク普及により地方在住でも案件を獲得しやすくなっています。
ただし、案件数や単価は東京23区に比べて依然として少ない・低い傾向があります。
例えば広島だと、案件数は東京の15分の1〜20分の1程度です。(参考:【IT求人ナビ】広島でフリーランスエンジニアを目指すには?必要なスキル・案件獲得方法)
地方在住ITフリーランスのメリット
地方で在住しながら働くメリットは主に下記の通りです。
- 生活コストが低い:家賃・物価が都市部に比べて安く、収入が多少低くても余裕ある生活が可能。
- 自然環境と暮らしやすさ:通勤ストレスから解放され、生活の質(QOL)が高まる。
- 自治体の支援制度:移住者向け助成金やスタートアップ支援制度がある(例: 【福岡市公式サイト】スタートアップ法人減税)。
- 地域独自の案件チャンス:観光・農業・製造業など、地域産業のDX案件を獲得できる可能性がある。
地方在住ITフリーランスのデメリット
メリットばかりではないので、デメリットも紹介します。
- 案件数・単価が少ない:特に地方案件は低単価の傾向が強い。
- 人脈づくりの難しさ:都市部のように勉強会・交流会が多くないため、情報収集や営業に工夫が必要。
- インフラや環境の課題:光回線の整備状況やコワーキングスペースの数は都市部ほど豊富ではない。
最近のリモート案件動向:減少傾向と見えるリスク
リモート案件(フルリモート)の減少兆候
企業の間で「オフィス出社を再導入する動き」が増えており、2025年時点で「リモートワークを完全廃止した」と回答する企業が22.6%に達しているという調査があります。
また、「フルリモート求人が減っている」「常駐またはハイブリッド勤務へのシフト」が話題になることも多くなってきました。
ただし、完全にリモート案件が消えるわけではなく、「ハイブリッド型/部分出社併用型」へシフトする企業が増えているという報道もあります。
在宅/リモート案件比率と報酬トレンド
エン・ジャパンの調査によると、2025年4月時点のフリーランスエンジニア案件掲載において、在宅(リモート可)案件の掲載比率は約33.6%です。(参考:エン・ジャパン)
ただし、「在宅可」な案件の大多数が部分リモート/ハイブリッド対応であって、完全に物理的な出社なしでの参画が許されるものはさらに限定的という感触も複数の記事で指摘されています。
リモート案件の減少を踏まえた上で、地方在住でおすすめできる「限度」と戦略
リモート案件が引き続き存在し、なおかつ地方在住でも一定戦える余地はありますが、現実を見据えた戦略と限界線も意識しておく必要があります。以下、私見を込めた「おすすめできる度」と戦線距離感を提示します。
| 条件・前提 | おすすめ度 | 補足/対策案 |
| スキルが高く、希少性がある技術(AI、クラウド、セキュリティ、ブロックチェーンなど) | 高 | こうした案件ではリモート前提になっていることも多い。競争が激しくても勝てる可能性あり。 |
| 中小〜スタートアップ企業との取引 | 中~高 | フルリモート可能な会社は小~中規模のスタートアップに多いという傾向も。 |
| 大企業・既存組織とのシステム開発案件 | 中 | 大企業案件では出社・常駐を求められることが増えやすい。リモート比率は限定的になる可能性。 |
| 地方案件・地域企業向け案件 | 低〜中 | 地方企業のIT導入は近接で対応可能性が重視されることも多いため、リモートだと信用性の壁ができやすい。 |
| 長期稼働や保守系案件 | 中 | リモートだけで完結できる保守・運用案件は引き続き存在する可能性あり。 |
「どこまで頼っていいか」— リモート依存の限界線
- 完全リモート(物理的出社ゼロ)を「唯一の前提」にするのはリスクが高まってきている。
- できれば「ハイブリッド型」や「月1回出社可」など柔軟性を残せる契約形態を交渉できる案件を優先したほうが安全。
- リモート案件は競争が激しくなるため、選別力・技術力・営業力がないと厳しい。
- リモート主体で稼ぎながら、地方案件や常駐対応可能性のある案件も一定確保しておく“併用戦略”が現実的。
「ハイブリッド型」や「月1回出社可」などであれば、移動費はかかりますが地方から東京の案件を請けることも可能かもしれません。
ただし市場の動向は、エージェントと相談した上でチェックしておくことが望ましいです。
また比較的リモート案件を多く扱っているエージェントについては、下記の記事を参考にしてみてください。
人気の地方都市・おすすめエリア事例
これから地方に移住を検討されている方に、人気の都市の状況をお伝えします。
優遇措置などありますので、ぜひ参考にしてみてください。
福岡市(福岡県)
- 強み:スタートアップ支援が全国トップクラス。国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」に指定され、法人減税などの優遇措置あり。(参考:Fukuoka DC)
- 案件傾向:スタートアップ、フィンテック、医療系システム。
- 注意点:常駐型案件が一定数あるため、完全リモート志向の人は案件選定に注意。
札幌市(北海道)
- 強み:行政がIT人材確保に積極的。「札幌市IT人材確保プログラム」などの制度あり。 (参考:札幌市公式サイト)
- 案件傾向:観光、気候データ、IoT関連案件が増加中。
- 注意点:冬季の生活コスト(暖房・交通)や通信インフラに地域差あり。
広島市(広島県)
- 強み:中国地方の経済拠点であり、製造業や業務システム案件が中心。ギークスなどエージェントが支店を開設し、地場案件のマッチング強化。 (参考:geechs)
- 案件傾向:業務系(Java/C#)、Web系も一部。
- 注意点:案件数自体は少なく、営業力・スキルで差別化が必要。
地方で稼ぐための戦略
地方で安定的に稼ぐためには、より戦略的であることが非常に重要です。
地方企業の案件や新たな取り組みを行うにしても実績は必要ですし、すぐに仕事に繋がらない可能性はあります。
そのため、どうしても東京や都市部といった案件を受注することを視野に考えていくことは必要と言えるでしょう。
- リモート案件を積極的に獲得
→ クラウドソーシングやエージェントを活用して首都圏案件を取りに行く。 - 地域企業のIT需要を掘り起こす
→ 観光サイトの多言語化、製造業DX、農業IoTなど地域ニーズを調査。 - 自治体・支援制度を活用
→ 福岡市「Fukuoka Growth Next」や札幌市の人材支援など、公的支援を積極的に使う。 - 地域密着の実績をつくる
→ 地元企業のサイト改善やアプリ開発を実績にし、同業からの紹介を狙う。
まとめ:地方×リモートの未来予測と読者への提言
まとめると以下の通りを考慮して地方で仕事をしていく必要があります。
- 完全リモート案件は減少傾向にある可能性
→ 企業の出社回帰や管理ニーズの変化を受け、リモート前提の案件が減ってきているという複数の報道・調査結果あり。 - “リモート前提”を前提にするスタンスは危うくなってきている
→ 技術力・希少性・営業力などが追いつかないとリモートだけでは収益が不安定になり得る。 - 併用戦略が現実的王道
→ リモート主体を主軸に据えつつ、常駐/ハイブリッド/地方案件を組み込むことでリスク分散を図るのが現段階では賢明。 - 技術・専門性を武器にすることがますます重要
→ 平凡な技術だけではリモート競争に埋もれてしまうため、専門性・差別化できる技術を持つことが差をつける鍵になる。
東京よりも案件数は少ないため、競合が多くなります。
まずはしっかりと実績を積み、クライアントとの信頼関係を構築することで、リモート比率を上げていくことが安定的に仕事があり稼げる状態に作れるかもしれません。
今後の活動の参考になればと思います。














