「契約書って書いてあることほとんど同じ」、「何を気をつければいいかわからない」って思っていませんか?
どうしても読み慣れていないと読むことが苦痛に感じると思いますが、読まずに契約締結してしまうとトラブルの元になってしまいます。
そこで、ITフリーランスがどんなところを確認すれば良いかまとめてみました。
ITフリーランスが契約書を確認すべき理由
フリーランスエンジニアやデザイナーにとって、契約書は単なる書類ではなくトラブルから自分を守る盾です。
- 報酬未払いを防ぐ
- 著作権や秘密保持違反のリスクを減らす
- 契約解除の条件を明確にする
「契約書をよく読まずにサインしてしまった」というケースは少なくありませんが、それが後々の大きなトラブルに発展する可能性もあります。
フリーランス契約書で必ずチェックすべき基本項目
契約形態(請負契約・準委任契約の違い)
ITフリーランスの契約では「請負契約」か「準委任契約」かをしっかり確認しましょう。
- 請負契約:成果物を納品して初めて報酬発生
- 準委任契約:作業時間・内容に対して報酬発生
契約形態で「いつ報酬が支払われるか」「責任の範囲」が変わります。
基本的にSESでは準委任契約となるケースがほとんどですが、どちらの契約にしてもしっかりと業務を行うことはいうまでもありません。
もし善管注意義務を怠り、その結果として損害が発生した場合には、債務不履行責任が生じ、損害賠償を請求される可能性があります。契約書に善管注意義務の記載有無に関わらず、請求される可能性があります。
契約期間と更新条件
契約書に「自動更新」の記載がある場合は要注意です。
意図せず契約が延長されるリスクがあります。
業務内容・業務範囲
「システム開発一式」といった曖昧な書き方は危険です。
業務範囲が広く解釈され、追加作業を無償で求められる可能性があります。
もし記載があれば、問い合わせして具体的な内容を確認すべきです。
報酬額・支払条件(支払サイトの確認)
- 月末締め翌月末払いか、それとも翌々月払いか
- 遅延時の取り扱い(遅延損害金の有無)
これらが明記されていないと、報酬未払いトラブルにつながります。
また、支払サイトが長いとキャッシュフロー上、資金ショートするリスクが高まります。
事業の鉄則としては、「回収は早く」、「支払は遅く」です。必ず覚えておきましょう。
長い場合は、十分な資金を準備するか銀行からの融資を受けておくようにしましょう。
報酬が高いからといって安易に引き受けては、黒字倒産する可能性があります。
SESなら支払サイトが短いエージェントに切り替えることも1つの方法です。
秘密保持契約(NDA)の内容
NDAは必須ですが、「フリーランス側にだけ過剰な責任を負わせていないか」を確認しましょう。
ITフリーランスが見落としやすい契約書リスク
全ての内容が、請負契約・準委任契約で記載されているわけではありません。
必要に応じて、見落とししないようチェックしてください。
成果物の著作権・知的財産権の帰属
契約書に「成果物の著作権はすべてクライアントに帰属」と書かれていると、ポートフォリオに載せられない・再利用できない可能性があります。二次利用や利用範囲を確認しましょう。
今後フリーランスとして活動する上では、ポートフォリオの作成は非常に重要な営業ツールです。実績を最大限に提示するためにも、可能な限り、ポートフォリオとしてどこまで利用可能なのか、必ず確認してください。
損害賠償責任の範囲
「フリーランスが無制限に責任を負う」となっている条項は危険です。システム障害やミスで、高額な損害賠償請求を受けるリスクがあります。
責任範囲については必ずチェックしてください。
契約解除条項(途中解約・違約金)
クライアント側の都合だけで即時解約できる契約は不公平です。
- 解約の事前通知期間
- 途中解約時の報酬精算ルール
これらが明確かどうかを確認してください。
競業避止義務(競合案件の制限)
「同業他社の案件は一切禁止」という条項が広すぎると、仕事の幅が制限されます。期間・範囲が合理的か確認が必要です。
もし確認しても判断つかない場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。
契約書チェックにおすすめのサービス・ツール
フリーランスは一人で法務対応をすることが多く、不安を感じやすい部分です。最近はAIやクラウドサービスを活用して契約書を自動チェック・作成・レビューできるツールが増えています。
契約書チェックに役立つ主要サービス一覧
サービス名 | 主な機能 | メリット | 向き・不向き |
契約書メーカー(フリーランス協会) | 質問に答えるだけで契約書を作成 | 無料/弁護士監修/フリーランス法対応 | 初めての契約書作成に最適。特殊契約には弱い |
LeCHECK(リチェック) | AIによる契約書レビュー | 和文・英文に対応/低コスト | 国際案件にも使えるが最終判断は人間必須 |
LegalForce | AI契約書レビュー支援 | 精度が高い/企業・事務所でも実績多数 | コスト高め。案件数が多いフリーランス向け |
LawFlow | NDA・業務委託契約に特化 | UIが分かりやすい/導入しやすい | 特殊条項の多い契約には弱い |
契ラク(Sollective) | 業務委託契約書の作成・管理 | テンプレでスピード作成/クラウド管理 | カスタマイズ性は限定的 |
契約書チェックツールを選ぶポイント
ポイントとしては下記が挙げられます。
フリーランスで活動していると、できれば料金は抑えることが理想ですが、契約書のチェックする頻度や請負契約か否かでコスト見合いでチェックすると良いかと思います。
- 対応契約の種類(業務委託・請負・NDA・英文契約)
- AIレビューか、人のリーガルチェックか
- 料金体系(無料/月額/従量課金)
- セキュリティ体制(機密保持の観点で重要)
- テンプレートや法令改正への対応頻度
- 電子契約や契約管理との連携機能
まとめ:ITフリーランスは契約書で自分を守る
フリーランスにとって契約書は「形式」ではなく、自分の収入と信用を守るための最重要書類です。
ツールや専門家にチェックしてもらう方が安心できると思いますが、全てを丸投げにするのではなく、自身で少しでもチェックできるようにしていけるようにしてください。
改めて、契約書でチェックするポイントをまとめました。
今後契約書をチェックする際は、下記の項目を必ずチェックしてみてください。
- 契約形態(請負か準委任か)
- 契約期間・更新条件
- 業務範囲の明確さ
- 報酬額・支払条件
- 著作権・知的財産権の帰属
- 損害賠償責任の範囲
- 契約解除の条件
契約書の内容を正しく理解し、必要なら専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぎ、安心して仕事に集中できます。